Warning: Undefined variable $classname in /home/kir657649/public_html/oeko-tex-japan.com/wp_control/wp-content/themes/oeko-tex/header.php on line 100
class="wp-singular page-template page-template-default page-template-default-php page page-id-1716 page-child parent-pageid-845 wp-theme-oeko-tex">

エコテックス国際共同体

【写真】株式会社小倉メリヤス製造所

日本国内の縫製工場として初めて、
OEKO-TEX® STeP(エコテックス®ステップ)認証を取得


 株式会社小倉メリヤス製造所の100%子会社である小倉メリヤス栃木工場株式会社がSTeP認証を取得したのは、2026年3月。“見えにくい工程”とされてきた縫製の現場で、なぜ今、国際認証に挑んだのか。その背景と現場での変化について、同社代表取締役社長の小倉大典氏にお話を伺いました。(取材・文:ニッセンケン品質評価センター 広報担当)

vol.02

“そこまで必要?”が、
“必要だ!”に変わった

 認証取得を決意して、実際に取組みを始めたものの、取得プロセスは決して簡単なものではなかったと言います。
 「一番大変だったのは、“置き換え”でした」。
 エコテックス®ステップ認証は国際規格であり、世界の大規模工場を前提とした監査項目も多いため、20数人規模の縫製工場では、そのまま当てはまらない基準項目も少なくないと言えます。「例えば、『工場の守衛に対しても適切なトレーニングをしていますか?』と聞かれても、“そもそも守衛って誰?”のようなところから議論が始まります(笑)。だから、『自社の規模ならどう運用すべきか』を、一つひとつ整理していく必要がありました」。
 申請に向けた各種書類の整備はもちろん、書類記述で必要な英語対応にも時間を要したとのことです。ただ、その過程で気づいたこともあったと言います。「これまでも海外関連のブランド監査を通じ、要求されたことには対応してきました。でも、“なぜ必要なのか”までは意識していませんでした。今回のステップ認証取得では、『こういうことをやれば、国際的に求められる基準を満たせる』という考え方が会社として体系化されました。認証が取得できたこと自体はもちろんうれしいのですが、体系化できたことが大きな成果と言えますし、企業としての財産になりました」。
 取得後、社内でも変化が生まれたと言います。「消防設備や避難経路なども、以前は“火事なんてそうそう起きないよ。そこまで必要かな”と思っていた部分がありました。でも、『もし事故が起きたらどうするか?』ということを管理者・経営者が本気で考えるようになったんです」。
 また2024年9月には、エコテックス®ステップ認証が『繊維業における「特定技能外国人」の受入れのための追加要件』として経済産業省より明示されました。小倉社長も、「当社も外国人スタッフに支えられている日本企業の一つです」と話します。「今回のステップ認証取得を通じて、『適切な環境で運営されている工場である』と客観的に示せることができ、その意味は大きいと思っています」。

【写真】株式会社小倉メリヤス製造所【写真】株式会社小倉メリヤス製造所

ステップ認証の取得を通じ、社員の皆さんに意識変化も

“日本製”を、
海外へ届けるために

 現在日本国内で流通する“メイドインジャパン”の衣料品は、市場全体の1〜2%程度しかないとも言われています。
 「このまま事業を続けていて、本当に大丈夫なのか」。そういった危機感は、以前からずっとあったと語る小倉社長。事業継続を目指して、自社ブランドにも挑戦するなど様々な取り組みをしてきた結果、「“作れること”と“売れること”は全く別だという現実に直面しました」と言います。
 そして、「結論として、自分たちは“作ること”に専念したいと思ったんです」。
 今、小倉社長が目指しているのは、まさに“日本市場だけに依存しない工場”。その方向性に、ステップ認証は一番しっくりくる国際認証でした。「海外のブランド企業が『日本の技術力の高い工場と組みたい』と思った時に、われわれが選ばれる存在になること。そのためには、品質だけでなく、どんな環境で、誰が、どう作っているかまで含めて、示していく必要があります」。
 実際、英語版ウェブサイトを立ち上げて以降、オーストラリアやヨーロッパ、アメリカなど、海外からの問い合わせが増えていると言います。
 「売上全体としては大きくありませんが、確実に変化は感じています。海外の有名ブランドを相手に仕事をすることは、企業としても、また社員一人ひとりにとっても、モチベーションの向上につながります」。
 改めて、企業としてこれから目指す姿についてお聞きすると、こんな言葉が返ってきました。
 「社員に対しては“安心して働ける工場”でありたい。そして外部に対しては、日本市場だけに依存せず、海外からも選ばれる工場を目指したい」。そして「これからは、商品の品質や価格だけではなく、“どんな考え方で作っている会社なのか”まで含めて評価される時代です。ステップ認証をベースに、“日本製の価値”を海外に届けたいと思っています」。

【写真】株式会社小倉メリヤス製造所【写真】株式会社小倉メリヤス製造所

株式会社小倉メリヤス製造所 代表取締役社長 小倉大典 氏

OEKO-TEX® STeP
認証をめぐる動向

 前述した特定技能の認定要件になったことで、ニッセンケンにはステップ認証取得に関する問い合わせがここ1~2年で急増しています。一方、ステップ認証が目指す「労働者・自然環境等に配慮した繊維工場のあるべき姿」は約30年前にエコテックス®国際共同体が示しており、全世界での認証取得件数は1420工場となっています。日本は、3工場にとどまっている現状です。(2026年5月時点)
 ニッセンケンは、日本の繊維ファッション産業の持続性・継続性に寄与するエコテックス®認証の魅力をより多くの事業者に伝えて認証件数を伸ばし、消費者がより多くの安全・安心に触れることができるよう、さらに尽力していきます。

Interviewer’s Note

「品質も価格も問題ない。でも最後は、“認証を持っているか”だった」。今回のインタビューで、その言葉が特に印象に残りました。長年、日本の縫製現場で培われてきた丁寧なものづくり。その価値を、今後は“感覚”だけでなく、国際的な基準や客観的な証明として示していく必要がある―。
株式会社小倉メリヤス製造所の挑戦には、日本の縫製業界が直面している変化と、その未来へのヒントが詰まっているように感じました。