エコテックス国際共同体

【INTERVIEW】ベビービョルン株式会社

世界50ヵ国以上で
3100万個以上販売されている
ベビーキャリアとは

さまざまなアイテムが市場にある中で、多くの親たちに選ばれているベビービョルンのベビーキャリア。
安全・安心を重視して商品を選ぶベビー用品の中で、ベビービョルンの製品が選ばれる理由はなんなのか、また、ベビービョルンのものづくりへのこだわりについて、ベビービョルン株式会社の深井代表取締役と、スウェーデン本社でデザインを担当しているLisen氏に取材してきました。
「何よりも安全であることが第一」だと語るベビービョルンの、エコテックス®認証への想いも聞かせていただきました。

写真 左:Lisen Elmberg

Designer

写真 右:深井 誠

ベビービョルン株式会社 代表取締役 / Sales Director of Asia

【写真】ベビービョルン株式会社【写真】ベビービョルン株式会社

ベビービョルンは、どのような会社ですか?

ベビービョルンは、1961年に創業したスウェーデンのファミリーカンパニーで、ビョルン・ヤコブソンと、その妻であるエリモア・ヤコブソンの2人で作った会社です。
元々は、彼らが自分たちの子どもに良いものを作りたいという想いから立ち上げ、現在は彼らの子どもたちがベビービョルンの経営に携わっています。なお、リニモアは今もデザイナーとして働いています。

ブランドコンセプトを教えてください

ビジネスコンセプトは、「3 歳までの子どもたち向けの優れた品質の安全で革新的な製品を開発することにより、小さな子供たちを持つ両親の日々の生活を楽にすること」です。また、ベビービョルンは、「セーフティ」「クオリティ」「スタイル」という3つのキーワードを掲げています。
何より第一に大切にされているものが「セーフティ」。大切なベビーを守るために、とにかく安全を重視した物作りをしています。次に「クオリティ」。高品質で利便性の高いものを、というポリシーの元に作っています。最後の「スタイル」は、スウェーデンのスタイルや、ご両親の生活のスタイルといったことを大切に、スタイリッシュなデザインをはじめ、商品を通して伝えていけるものを作っています。

【写真】ベビービョルン株式会社

スウェーデンの育児に関して、日本と特に違うことはありますか?

国の法律で、父親も必ず育児休暇をとらないといけないことになっています。
両親のどちらも、積極的に子育てに参加する、それがあたりまえのスタイルになっています。

ビジネスコンセプトに「3歳までの子どもたちに向けた」とありますが、
ベビービョルンが展開しているアイテムを教えてください。

カテゴリーで言うと、ベビーキャリア、バウンサー、トラベルクリブ、クレードル、イス型オマル、ハイチェアおよび食器製品を展開しています。世界50ヵ国以上で販売をしていて、ベビーキャリアは、これまでに3100万個以上販売しています。

【写真】ベビービョルン株式会社【写真】ベビービョルン株式会社

日本でベビービョルンの製品を取り扱うようになった時期やきっかけを教えてください。

日本では、プラスチック製の食事エプロンやオマルが導入のきっかけでした。当時、赤やブルーの鮮やかな色使いは、淡いピンクや黄色が主体であった日本のベビーマーケットではとても目立ちました。実際食事エプロン”ソフトスタイ”は現在もベストセラーです。
布製の涎掛けを使うのが一般的だったので、プラスチックの食事用エプロンは新しいカテゴリーで“スタイ”という名で販売したと聞いています。それがいつの間にか、布製を含めたエプロン全般を示す名詞として使われています。

今あるものを改善し続けていくのが、
ベビービョルンのスタイル

新生児から使用できるアイテムを取り扱う中で、パパとママが安心して選べるものとして特に重視し、こだわっているポイントを教えてください。

【写真】ベビービョルン株式会社

ベビービョルンの安全性に関する考え方を聞くと、驚かれると思います。1973年からベビーキャリアを販売して、それ以来ずっとお客さまのニーズにこたえられるように改善をし続けています。クオリティコントロールの人たちの中では、「KAIZEN(改善)」という日本がそのまま使われているんです。
ベビービョルンのベビーキャリアは、全てのバックルを片手で操作できるようになっています。何かするときに両手を使うということをベビービョルンは禁止しているんです。なぜなら、片手は必ず赤ちゃんを支えるために使わないといけないとしているからです。

【写真】ベビービョルン株式会社

そのほか、急いでいる時や視力が弱い方でも間違わずに使えるためにバックルの色を赤と青になっていたり、正しい位置でしかバックルがはまらないように設計されています。夜泣きのときに真っ暗な部屋でバックルの位置がわからなくてもカチッという音で、装着されたことがわかるような工夫もされています。このように、とにかく細部に渡るまで安全性について考えられているんです。

なお、バンド、バックル全て自社で開発をし、特許を取得しています。このように、ベビービョルンは、45年もの間、ひとつの商品を何度も何度も改良を重ねて安全で安心して使える商品へと改良を続けているんです。今あるものを改善し続けていくのがベビービョルンのスタイルです。

【写真】ベビービョルン株式会社【写真】ベビービョルン株式会社

赤ちゃんに安全だということが伝えられる
エコテックス認証

【写真】ベビービョルン株式会社

ベビービョルンがエコテックス認証を
取ったのはなぜですか?

2000年に全ての素材でエコテックスの認証を取得し、ラベルをつけています。我々にとっては、安全であることが第一ですので、自然な取り組みでした。ベビービョルンは、安全性・高品質を認識したブランド、それを証明する元にもなっている大切な一つがエコテックスの信頼性とも言えます。そういったものをベースに、ブランドを伸ばしていかなくてはいけないし、そのベースがある安全性への意識が根本にある企業は、多少の浮き沈みはあれ、永続性のある伸び方をしていくと信じています。これは企業姿勢だと思います。

取得したことで得られたメリットはありますか?

赤ちゃんの肌が荒れてしまったなどの問い合わせを受けることがあるんですが、我々はエコテック認証を受けているので、弊社の商品の問題ではないということを堂々と説明できます。エコテックス認証を取得しているということは、毒性のないものであったり、有害物質が含まれないということを証明できているので、お客さまにもすんなり納得していただけます。

エコテックス認証における、日本と海外の
顧客の反応(認知度)の違いについて

日本では、まだエコテックスの認知度はあまり高くないように感じます。ヨーロッパでも、国によって認知度はさまざまです。
安全性・環境への意識はこれからも高まってゆくと考えます。その上で、日本の市場が安全性や環境を考慮した製品作りの競争となれば、より良い製品作りの競争になりますし、消費者にはより良い製品を永く大切に使っていただければ、それで充分に環境には良い影響となるかと思います。エコテックス認証がさらに認知され、商品を選ぶ時の基準となることを願います。

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製品を通じて、
絆を深める「ボンディング」を伝えていきたい

日本の顧客から、貴社製品へ求められていると感じることについて聞かせてください

よく、ベビービョルンは「引き算」で例えられます。ひとつの製品で、あれもできる、これもできるという足し算が一般的ですが、付け足すことで本当に必要な時期、必要なことが阻害されることがあるからです。複雑な構造で使いにくくなったり、フィット感がなくなってしまったり、赤ちゃんの成長の過程で求められることは変わってきます。
私たちは、赤ちゃんにとって、親にとって何がもっとも重要なのかを突き詰めて考えてゆきます。無駄な装飾も機能も削ぎ落として、ユーザーにとって最も必要とされることを、できるだけシンプルに解決すること、そんな製品作りがお取引先様やお客様からベビービョルンらしいとよく言われます。Less is Moreです。

【写真】ベビービョルン株式会社

ベビーキャリアでは、親子の愛情ができあがる新生児から4・5ヶ月が最も重要です。その時期に、胸の高さでしっかり抱いてあげる「ボンディング」が赤ちゃんが一番安心でき、絆がぐっと深まります。そのボンディングをサポートするためにも、着脱も頻繁で、安全面からもぴったりフィットするデザインが要求されます。

バウンサーでは、赤ちゃんのスペースではなく、立ち上がるまでの成長過程でもっとも重要な感覚、平衡感覚が揺れによって養われることを意図しています。
その意味からいえば、私たちに求められることは、子育てを経験した後になってしかわからない本当に必要なことを製品化することだと思います。

どのような存在のブランドでありたいと思われますか?

使用するユーザーにとって最高のブランドでありたいと思います。生活に必要とされるブランドでありたいです。願わくば、ベビービョルンの製品が、日々の育児にとって便利であり、簡単であることに貢献してほしいです。
ベビービョルンが今まで培った一番いいところは、単に製品を売るだけではなく、親子の関係を作れる機会を与えるという付加価値の部分です。そこを継続してひろげていきたいです。

ベビービョルンの製品を使って成長していくお子さまへの想い、ベビービョルンの製品を使って子育てをするパパとママへのメッセージを聞かせてください

とても難しい質問です。親の愛情を一身に受けて、自然と共生し、デザインやアートが好きで、家族や友人と過ごすといった豊かな時間を楽しむ人になってほしいです。これは、私のもつスウェーデン人のイメージでもあります。
また、小さい赤ちゃんの育児の時期を楽しんでほしいです。

【写真】ベビービョルン株式会社【写真】ベビービョルン株式会社