エコテックス国際共同体

【INTERVIEW】カイハラ産業株式会社

vol.02

世界に誇るカイハラデニムを生む
ハイスペックで最先端の工場とは

カイハラの一貫生産体制は、福山市の本社工場に加え、広島県内の三和工場、吉舎工場、上下工場と、2年前に開設したタイ工場の5拠点で稼働し展開されています。福山駅から車で約1時間の場所に2009年に完成した三和工場があります。実際に工場内を見学させていただき、世界中から愛されるカイハラデニムが出来上がる工程を可能な限りお届けできることになりました。他では見ることのできない、カイハラデニムができるまでの流れを、各工程での有害物質への安全性の管理に関するポイントも交えつつご紹介します。

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

原綿

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

約5,000平米の広さがある原綿倉庫には、アメリカをはじめ世界の主要綿生産地からデニムに最適な原綿が産地ごとに管理され、常時約5ヶ月分の原綿が保管されています。写真に見える原綿1つの俵から、約250本のジーンズができるとのこと。
また、綿花畑で使用された残留農薬に対する管理は、極端にはオーガニック原綿の使用ですが、その他にも、減水や減農薬栽培された原綿を吟味、購入し、エコテックス®認証基準による分析試験で問題が無いことを確認しています。

紡績

【写真】カイハラ産業株式会社

原綿に混ざっている金属やゴミなど、金属探知機等を用いてチェック・除去している様子。ここでの作業が品質の高い糸作りの大事な一歩となります。

【写真】カイハラ産業株式会社

混打綿機で、綿をかきとり空気搬送しているところ。工場内は1年中、温度、湿度を一定に保っています。

【写真】カイハラ産業株式会社

カイハラには独自の銘柄で数百種類の糸があり、原綿の色やグレードでそれぞれの糸に合わせて、独自のノウハウでブレンドされ、カード、練条等の前紡工程を経て、精紡工程へ。工場の中にある設備は、絣で培った技術をベースに独自に改良したものばかり。カイハラが世界中から注目されているデニムを作りあげるための工夫が随所に組み込まれています。

【写真】カイハラ産業株式会社

顧客の要望により、リング精紡機とオープンエンド精紡機が使い分けられます。

整経

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

紡績された600~900本の原糸を約6,000ヤードの長さでロープ状に束ね、チーズと呼ばれる円筒形に巻いていきます。次の染色工程で、ムラなく染めあげるためには全ての糸を均一に巻き取ることが必要となります。

ロープ染色

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

カイハラデニムの仕上がりを決定づける重要な工程が染色です。
糸の芯(中心)の部分を白く残し、糸の表面を染色するロープ染色は、カイハラが備後絣で培った技術が惜しみなく活かされています。ロープ状に束ねられた原糸がインディゴ染料の液槽を通過し、ローラーで絞られ、空気に触れることで酸化し、緑色から藍色へと徐々に変化していきます。
この工程を何度も繰り返すことで、カイハラの他社にない深みのあるインディゴブルーが誕生します。これによりジーンズの洗い加工後のビンテージ感を出すことができるのです。
また、染色はデニム生地を生産する中で多くの薬剤が使用される工程です。カイハラの厳しい基準で仕入れた薬剤を、それぞれの安全に関する取扱い方法を忠実に守り、事故が起こらないように保管方法なども工夫しています。薬剤の使用・管理については、細心の注意を払い日々生産を行っています。

織布

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

染色が終わり、いよいよ織布へ。糊付け・経通し等の準備工程を経て経糸(タテイト)に、緯糸(ヨコイト)を打ち込み、デニムを織り上げていく工程です。ここでは、デニムのバリエーションに合わせて織機を使い分けています。高速でデニム生地が織られていく様子は圧巻です。

生機検査(キバタケンサ)

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

織りあがった生機が規格通りに仕上がっているかを検査員が全数チェック。不良個所を発見した場合は、即座に前工程にフィードバックされます。驚くほど正確で綿密な連携が、カイハラの品質管理の質を高く保っている秘密です。

整理加工

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

表面の毛羽(ケバ)を取る毛焼き、生地にコシを持たせる糊付け、ねじれを防ぐ斜行防止、生地の縮みを防ぐ防縮など、製品として出荷する最終仕上げ。

最終検査・試験

整理加工を経た生地は、製品検査と製品試験に回ります。
製品検査は、資格を持った検査員が目視で生地の欠点を見つけながらA反、B反、C反の格付けを付けます。また、製品試験は、生地の物理的な試験として、よじれ防止、縮み具合、強力、ストレッチ素材であれば、伸びの状態などの項目を全て合格した物と製品検査に合格した生地が巻取、梱包され立体倉庫に格納され、お客様の要望に従って出荷に至ります。

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そして最終製品段階で、第三者機関の一般財団法人ニッセンケン品質評価センターによる有害物質に関する厳しいエコテックス認証試験を受けることで、世界に通ずる安全性を担保します。

環境へのこだわり – 廃水処理

デニム素材メーカーとして、自然との共生が大きな使命と語るカイハラでは、廃水処理施設を設置しています。
公的環境基準より厳しい自主基準を設定し、徹底した環境への配慮・対応をしています。
また、3年前からは、さらなる水質の向上・廃水処理の安定化を図るために、新たな処理システムを導入。貝原会長は「我々は、豊富な水をはじめ、自然からの恵みで成り立っている。コストはかかりますが環境のためにはそうすべき。また、ボイラー燃料は重油からLNG(液化天然ガス)に変えています。法律上の規制はないのですが、自主的に基準を厳しくしていくことで大気汚染を少なくしていこうという取り組みをしています」と語ってくださいました。

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自然からもらったものに対して、何をもって恩返しできるか。この姿勢こそがカイハラクオリティと言えるのではないでしょうか。

Vol.3 貝原会長インタビューに続く