エコテックス国際共同体

【INTERVIEW】カイハラ産業株式会社

vol.01

圧倒的な国内シェアを占める
カイハラデニム
を支える
品質管理とエコテックス®

備後絣(びんごかすり)が有名な藍(あい)染めの産地と知られる広島県福山市で、1893年に手織正藍染絣を製造する個人商店として産声をあげたカイハラ産業株式会社。今や日本国内のブルーデニム市場において50%を大きく上回るシェアを占め、世界約20か国に輸出する世界屈指のデニムメーカーへと成長した当社が「エコテックス®スタンダード100」認証を取得したのは2008年です。日本でいち早く世界基準であるエコテックス®認証を取得した理由や世界に誇るデニムメーカーとして認められるまでに至ったカイハラのこだわりなどについて、福山市の本社工場をはじめ、各工場を訪問し取材してきました。

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

日本国内で唯一の
デニム生地一貫生産ライン

創業125年を迎えるカイハラが、デニム生産へと事業転換をしたのは1970年のこと。
当時の日本のデニムは「綛染(かせぞめ)」という方法を用いていましたが、その染め方は「穿きこむことで色落ちしていく」というデニム本来の風合いが出せない仕上がりとなっていました。そこで、デニムの本場であるアメリカから伝わってきた情報をもとに、ロープ染色機を自社開発し、初の国産デニム生地の生産を可能にしました。
それから約50年。紡績、染色、織布、整理加工と事業領域を拡大し、日本国内で初となる一貫生産ラインでのデニム製造を確立させました。
カイハラデニムがNBやSPAなど、世界中のジーンズメーカーや大手アパレルから絶大なる信頼・支持される理由は、日本で唯一の一貫生産体制による高いクオリティをサポートする、カイハラの徹底した品質管理体制にもあると言えます。
エコテックス®認証取得もその一つとしてしっかりと存在しています。

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

カイハラデニムは、輸出品に関しても各社の厳しい基準に対応し、欧米市場でも高い評価を得ています。

カイハラの究極の
トレーサビリティ(品質保証)

多くの国内外の大手ファッションブランドと取引をしているカイハラは、海外のブランドからの要求と日本の法規制にかなりギャップを感じると言います。日本の法規制を満たせても海外の顧客からの要求事項は満たせないという現状は、かなり前から直面してきました。高い安全性をスタンダードにする海外諸国に比べ、少し語弊があるかもしれませんが、日本の規制はかなり緩く少ないため、日本基準をクリアしただけでは到底取引に至らなかったのです。カイハラは、2016年4月に日本でアゾ規制(法律)が始まるより8年も前に「エコテックス®スタンダード100」認証を取得しました。安全性に対する管理を世界基準に合わせることで顧客からの要望に応えているのです。
エコテックス®認証取得をはじめ、アパレルの化学物質基準の統一化を目指すZDHC基準を採用するなどし、顧客の要求事項を満たし消費者へ安心な製品供給することに徹底してこだわっています。

【写真】カイハラ産業株式会社【写真】カイハラ産業株式会社

「多くのブランドまたは企業が、2020年までにサプライチェーンで有害物質の排出・使用ゼロという目標を掲げています。さらに新たな物質も禁止リストへ追加されています。特に海外の顧客からは日本の法律以上に厳しい基準を求められることもしばしばあります。新しい基準を薬剤メーカーに説明し、理解して頂き、対応してもらうことが今度の大きな課題になるでしょう。基準が厳しくなる中で、今後は薬剤メーカーへの説明の機会を持ち、しっかりとコミュニケーションを取っていかなければいけないと感じています。エコテックス®認証をはじめ、このような新しい基準などに積極的に対応し、広めていくこともリーディングカンパニーとしての役割と認識し、引き続き対応していきたいと考えています。

また、今後は購入・使用するすべてのものに対して、「サステイナブル」かどうかとういう基準も持っていかなくてはいけません。今までは、「サステイナブル」に関しては、どちらかというと受け身の対応でした。顧客から何か要求されたことに対して一つ一つきちんと対応していくということがメインでした。例えば、あるブランドに対しては、廃水関連の対応。あるブランドに対しては、素材と労働環境の対応。聞かれたことにしか対応できていませんでした。しかし、これからは過去に対応してきたことをしっかりとまとめ、カイハラの生産背景は労働者に配慮された環境で有害物質が含まれない素材を作り、その過程で発生した廃水もきれいに処理され、自然に戻されている。サステイナブルな企業・生産背景であることを顧客にも一目でわかるようにしていきたいと考えています。

Vol.2 工場見学レポートに続く